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蕎麦
師匠side
弟子sideは後日上げます。


 


 













































































































































「芭蕉さん、僕は」

「煙のように死にたいんです。」


曽良くんは窓の外の満月を見ながら静かに言った。
そう聞き返すのは後から思えば無粋であったかもしれない。けれどもその時の私は聞かずにはいられなかった。
「どうして?」
ゆっくりと私の方に振り返り、彼は答えた。
「・・・僕、煙が好きなんですよ。」
「え?でも君、煙草吸わないよね?」
曽良くんはわざと大きく息を吐いた。
「はあ・・・俳聖とあろうものが・・・」
「えっ、いや、だって煙って言ったら煙草・・・」
曽良くんはもう一度溜息をついたきり、窓の外に目を移してこちらを向かなくなった。
彼の指す煙とは香のことをを意味しているのだと私が分かったのはしばらくしてからだった。そのことを告げると、曽良くんは意外そうな顔をした。まだそれについて考えていたのか、とでもいうように。
「ええ、そうですけど・・・」
そういえば彼は香を好む。この旅ではそんな暇はないが、江戸に居るときはいつも服に焚き染めていた。その香りは季節や天候、そして彼の気分によって変わった。どの香りも不快にさせるようなことはなく、涼やかな香りであった。
「曽良くんの焚いてるお香はね、私、どれも好きだよ。」
「・・・そうですか。」
「なんだかね、その日の置こうで曽良くんの気分が分かる気がする。」
「そうですか。」
段々話がずれてきている。私は慌てて軌道修正した。
「煙みたく死にたい、って消えるように死にたい、ってこと?」
「まあ、そんなとこです。」
「私は曽良くんに猫みたいな死に方して欲しくないなあ。」
「は?」
私が急に引き合いに出した猫、という単語の意味が分からなかったみたいだ。それとも平生この弟子を猫みたいだと思っているのがばれたのだろうか。前者であることを祈る。
「いや、ほら、猫って自分の死期を悟ると身を隠す、って言うじゃない。」
「ああ、言いますね。」
「そんなの嫌だなあ、曽良くんが死ぬときはきれいな奥さんと、可愛い子供と、孫もいるだろうね、いっぱいの人に見送られて旅立つよ、きっと。」
「僕はそんなに長生きしません。」
きっぱりと断言されて、ちょっと腹が立った。
「何で悲観するの?」
「悲観なんかじゃありません。これは決まっていることなんです。」
弟子の言うことが分からない。どうして若死にすると決め付けるのだろう。
「曽良くんがそう思ってても、私はそう思わない!」
半ば躍起になって、腕を振り回しながら叫んだ。ごん、と重い音がする。私の腕が曽良くんの頭に当たってしまったようだ。しまった、調子に乗りすぎた。断罪される、と目を瞑ったのだが、いつまで経っても予想される痛みは来なかった。そろり、片目を開けてみる。
曽良くんは下を向いていた。畳にはいくつかの染み。そして、ぽた、ぽた、という音。
「曽良くん、」
彼は顔を上げて私を見た。
なんて綺麗な目をしているのだろう。漆黒の瞳は濡れて、形容する言葉が在るとするなら誰か教えて欲しいほど、それほどに美しい。
私は膝立ちで彼に近づき、彼を抱き締めてやった。
彼の首筋からは彼の大好きな香の匂いがした。


 



 
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更新情報
5/22 細道一点
注意書き
日和、歴史系二時創作小説取り扱いサイト。
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二時創作ですが掲載されている作品の著作権は管理人にあります。
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基本的に各キャラの性格や関係はそのお話ごとに違うと思って下さい。
つまり同一人物ではない、ということです。
同じとみなしてしまうと色々こんがらがってしまうと思います。
それを踏まえた上で御覧になって下さい。

日和→細道中心に、飛鳥、天国。受け攻め関係ない。話によって蕎麦だったり芭曽だったり、色々。シリーズ越えもするかもしんねえぜ。
バサラ→今はほぼ更新停止状態。真田主従、サナダテ、時々瀬戸内。こちらもあまり受け攻めは関係ない。
管理人
禮鴻 彪
2月7日生まれ。
太子と一緒の誕生日。

暇があれば妄想をしているちょっと残念な人。時間を持て余すことなど・・・ない!
今は日和中心だが歴史系には常に飢えている。普通に歴史小説も読むし、色々勉強したりもするが、ゲームをすることも多い。
BLにおいて受け攻めの拘りはない。リバ、いいよね!



お礼一種。
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