愛という言葉以上のこの気持ちの表現方法を教えてくれ

曽→芭。DV有りなので注意。

乾いた音が何度も部屋にこだまする。
行灯に照らされた影は、僕が彼に馬乗りになって手を上げている姿を映し出していた。

「っひい、痛いよ、そらくん・・・」

真っ赤に両の頬を腫らした彼は、馬乗りになって次の張り手を加えようとしている僕に泣きながら訴えた。
痛い、痛い、痛い、
やめて、やめて、やめて、
何度もその声を聞いた。
そんなありきたりな言葉で僕はやめるつもりはない。
もっと泣け、もっと痛がれ、もっと僕を拒否しろ。
そうして僕を嫌いになれ。

結局、僕は彼が気絶するまでひたすら彼の頬を打ち続けた。


いつもその時は突然やってくる。
僕の中の何かが、僕を責める。

どうして自分の慕う師匠をそんなに殴るのだ
どうして自分の気持ちを素直に彼に伝えないのだ

ああ、やめてくれ、

やめてくれ？
僕はそんなありきたりな言葉でやめるつもりはないよ

ああ、これは僕だ！
僕が、僕の良心が僕をこんなにも責める！

愛なんだろう、君は彼を愛しているんだろう

違う、愛しているんじゃない、

ならば何なのだ

分からない、愛じゃない、こんな気持ち、愛じゃない、

何なのだ

分からない！



僕は自分の耳を自分の手で塞いでいた。
もうあの声は聞こえなかった。

目の前に無残な姿の彼が横たわっている。
頬だけでなく、その着物の下にはあちこちに痣ができているだろう。
彼は一度も僕を責めたことはない。
だから、余計につらい。
その代わりなのだろうか、いつも自己嫌悪の時間がやって来る。

彼の頬を撫で、つぶやく。

「ごめんなさい」

ごめんなさい、ごめんなさい、
こんなことでしか伝えられない僕でごめんなさい
本当は貴方を愛しているんです
でも、愛しているじゃ足りないのです
それ以上の言葉が欲しいのです
貴方なら知っているでしょうか、愛以外の言葉を。
愛以上に烈しい言葉を。






I shall kneel and crasp your hand to seal a swearing allegiance.



そして貴方の手に口付けができたらどんなに楽なことか。