×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
師弟それぞれの好き嫌い。
「うわっ、雪だよ雪!こっち来てよ曽良くん!」
「雪くらい騒ぐほどのものじゃないでしょう・・・」
曽良は口では文句を言いながらも素直に縁側まで出てきた。
舞い落ちるは大きな綿雪だった。触れればすぐに溶けてしまいそうなほどの柔らかい雪。芭蕉はそっと手を伸ばし、その雪を掌に乗せた。しかしすぐにそれはただの液体に変わる。その掌をきゅっと握りしめ、芭蕉は小さな声で言った。
「私ね、曽良くん。たくさん降って一面が銀世界になるのもいいんだけど。今みたいにほら、」
その手は庭に植えている牡丹を指差した。
「うっすら積もってるのが一番好きだなあ。その下にある色と混ざってとても綺麗でしょう?」
「そうですね。でも、・・・」
「でも?」
「・・・僕は、あまり好きじゃありません」
「雪が?」
「ええ。」
「そっか。でも嫌いにはならないでね。確かに沢山降ると困りものだけど、雪だって迷惑かけたくてかけてるんじゃないもの。」
「・・・ええ。」
曽良は続きを言う機会を失った。雪が好きでないのは何も雪下ろしが面倒だったり、出掛ける時に歩きにくいから、といった理由ではない。雪は全てを覆い尽くす。物も、人も、自然さえも。曽良は恐ろしかった。何もかも、地上に存在するもの一切が白と化す事を。自分の大切なものも白となり見失ってしまう。そうして、雪が溶けたら一緒に消えてしまうのではないか、という恐怖に駆られるのだ。
曽良は隣で黙って雪の舞い落ちる様を見ている芭蕉を引き寄せ、抱きしめた。大丈夫だ、今、彼はここに存在している。
「どうしたの、曽良くん」
急な抱擁にたいして慌てる様子も見せず、芭蕉は曽良の背中に腕を回した。
「何でもありません」
曽良が腕に力を込めると、わずかながら芭蕉も曽良の着物を強く握った。
降りしきる雪の重みに耐えられなくなったのだろう、牡丹の落ちた音がやたら大きく響く。いつしか辺りは一面真っ白だった。
白
いつしか僕の愛しい人も、飲み込まれてしまうのでしょうか。
PR
更新情報
5/22 細道一点
注意書き
日和、歴史系二時創作小説取り扱いサイト。
閲覧は全て自己責任でお願いします。
閲覧後、気分を害されましても管理人は一切責任を負いません。
差別的発言等相応しくない表現、また史実に沿わない表現があろうかと思います。
しかしあくまで一個人の思想、一個人の作品であることを予めご了承願います。
二時創作ですが掲載されている作品の著作権は管理人にあります。
無いとは思いますが、盗作・転載等はお止め下さい。
基本的に各キャラの性格や関係はそのお話ごとに違うと思って下さい。
つまり同一人物ではない、ということです。
同じとみなしてしまうと色々こんがらがってしまうと思います。
それを踏まえた上で御覧になって下さい。
日和→細道中心に、飛鳥、天国。受け攻め関係ない。話によって蕎麦だったり芭曽だったり、色々。シリーズ越えもするかもしんねえぜ。
バサラ→今はほぼ更新停止状態。真田主従、サナダテ、時々瀬戸内。こちらもあまり受け攻めは関係ない。
閲覧は全て自己責任でお願いします。
閲覧後、気分を害されましても管理人は一切責任を負いません。
差別的発言等相応しくない表現、また史実に沿わない表現があろうかと思います。
しかしあくまで一個人の思想、一個人の作品であることを予めご了承願います。
二時創作ですが掲載されている作品の著作権は管理人にあります。
無いとは思いますが、盗作・転載等はお止め下さい。
基本的に各キャラの性格や関係はそのお話ごとに違うと思って下さい。
つまり同一人物ではない、ということです。
同じとみなしてしまうと色々こんがらがってしまうと思います。
それを踏まえた上で御覧になって下さい。
日和→細道中心に、飛鳥、天国。受け攻め関係ない。話によって蕎麦だったり芭曽だったり、色々。シリーズ越えもするかもしんねえぜ。
バサラ→今はほぼ更新停止状態。真田主従、サナダテ、時々瀬戸内。こちらもあまり受け攻めは関係ない。
管理人
禮鴻 彪
2月7日生まれ。
太子と一緒の誕生日。
暇があれば妄想をしているちょっと残念な人。時間を持て余すことなど・・・ない!
今は日和中心だが歴史系には常に飢えている。普通に歴史小説も読むし、色々勉強したりもするが、ゲームをすることも多い。
BLにおいて受け攻めの拘りはない。リバ、いいよね!
2月7日生まれ。
太子と一緒の誕生日。
暇があれば妄想をしているちょっと残念な人。時間を持て余すことなど・・・ない!
今は日和中心だが歴史系には常に飢えている。普通に歴史小説も読むし、色々勉強したりもするが、ゲームをすることも多い。
BLにおいて受け攻めの拘りはない。リバ、いいよね!